仏教伝来の道

気持ちのいい青空が天高く広がって、金木犀の甘い香りは街中に漂い、いよいよ
秋の気配が本格化してきた。実りの秋 到来ともろ手を挙げて喜びたいところだが、
明日からは、大型の台風24号が襲来との天気予報で、今年は台風の当たり年の
ようで、一年の労苦の実り・・農産物等への影響が心配され心が重い。

先週まで中国の敦煌やトルファン、クルムチなどへ行ってきた。一言で言えば
4千年の歴史と言われる歴史の重みと広大な国土には、圧倒されるに充分なインパクトが
あった。友を西域へと送り出す惜別の地となった玉門関に立てば、長年の強風に晒され
ながらも造営時の痕跡を今に残す朽ちた城壁(長城 天端幅0.6m、下幅1.2m、
高さ5~6m) や、荒涼とした地平線が360度に広がり、蜃気楼が現れるゴビ砂漠の
雄大さ。ほとんど雨が 降らないこの広大な平原を、ラクダひとつを頼りに道なき道を
歩いてヨーロッパまで交易に 向かう。そこには、本当に命懸けの勇気が必要で、交易と
いう夢にかけた冒険に敬意を払う と共に、その交易から生まれ広がった文化には、改めて
感謝と魅力を感じた次第である。

敦煌の莫高窟、仏教の教えに帰依し、悟りを開くべく修行にその身を捧げた僧侶たちの想いは、
神聖で清々しい仏法の理想界を創造していて、その場に身を置くことで感じ得る歴史の
重みと、大切に守り継がれることで付け加わえられた魅力に直接接することができ、ただただ
有り難く思った。このような荒涼とした偏狭の地に4世紀から1000年に渡って700余り
もの石窟を掘り抜き、仏像を建立し 極彩色の壁画を描いて祈ってきたこの大事業。営々と支え続け
たのは一般住民の信仰心であり、その力の不思議を禁じえないほど広大で緻密に築造された
遺跡であった。 当時は、遊牧民やそれぞれの民族、宗教的な争いが絶えず、城壁が必須の防御
施設として 築造されたのであろうが、今、これだけの年月が流れ、争いの歴史を繰り返し、また、
当時は想像すら 出来なかったであろう文化文明を築いたのだが、今だに当時と変わらぬ争いや対立に
明け暮れ、 その解決策が未だに改善されていないのは、一体どうしたことだ。
人間の性としてこうした対立は、受け入れなければならないものなのであろうか?