日本列島形成の奇跡と恵み

今年は、赤道付近の海水温が高いことなどから暑い夏になると予想されていたが、
梅雨明け宣言後も不順な天候が続いている。ひと昔前には、「夏の本当の暑さは
お盆までで、お盆を過ぎれば朝夕には涼風が立ち、暑さもしのげる。」と思って
生活していたように思う。
気象変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書によれば、130カ国の
二千人にも及ぶ専門化が協力し「気象システムの変動が、温暖化に起因していることは
疑う余地がない。」と結論をだしてから、10年が過ぎた。今や温暖化に対する取り組みは
世界中の関心事となり、対策も進展しているとは思うが、あのパリ協定から最も重要な
世界第2位の温室効果ガスを排出するアメリカが脱退を宣言し、困惑と落胆が世界に広まり
動揺が続いている。
自然に直接手をかける仕事をしている土木の技術者も、自然や環境に対する感性は欠かせ
ないが、世界のトップリーダーたる政治家は、とりわけ自然と環境に関する明確な理念・
哲学を持っていなければ、社会を正し普遍の理想に導いていくことは出来ない。

さて、7月の23日と30日NHKで日本列島の稀有な誕生の謎を解き明かす番組「列島
誕生のジオ・ジャパン」の放送があった。
私もかねてより、日本の地質がフォッサマグナを挟んで東と西で全く異なっていることに
大きな疑問を感じながら、解明もせず放置してきたが、この番組で納得することができた。
我が日本列島は、地殻変動の特別な偶然が連続したことで、険しく厳しい自然環境ながら、変化に
富んだ美しい四季や、豊かな恵みをもたらしてくれている。
西日本は、大陸から分離した日本列島が東に移動して、海底では堆積が進み、そこに活発な
噴火活動が重なることで、西日本が形づくられてきた。
一方の東日本は、形成過程が全く異なっていて、日本付近で接し合う4つの地殻プレートが
せめぎ合う中で、ユーラシアプレートではない北米プレートが東側から押してくる太平洋
プレートによって圧縮され、盛り上がることで東日本と2、000m級の山並みも形成されたという。

日本は、中緯度に位置しているが、年間1、720mmほどの雨に恵まれる。この雨の量は世界の
平均からすると大変に多い訳で、豊かな植物の成長を助けている。しかも、この雨も2、000m級
の山脈があるからで、仮に、平坦のままであったら世界の各地と同様に、乾燥した気候になっている
という。日本誕生の歴史は、世界の国の多くが大陸の移動によって形成されたのとは大きく異なって、
その成り立ちは複雑で、さまざまな偶然・・奇跡の上に形づくられたものである。わが国は雨が多い
うえに、地層が複雑で地質は脆弱なため土砂災害が起こりやすく、地殻変動の影響も受けるため
地震も多い。しかし、先人はこの自然に寄り添い環境を注意深く観察して、繊細で独創的な世界に
類を見ない文化を豊かにしてきた。
我々も自然から知恵を学び、安全安心の確保と共に、豊かな文化を継承発展させなければならない。